捨て犬や迷い犬が多い時期と隠れやすい緑地など、どの地域でも一定の条件が整うと野犬が繁殖し増えやすくなります。
全国でも野犬が多い地域と野犬が少ない地域があります。野犬が多い地域は、比例して犬の殺処分率が多い傾向にあります。
近年は、キツネやイヌなどイヌ科の動物を宿主とする、エキノコックスの条虫によるエキノコックス症が本州の野犬からも確認されています。イヌ科の動物から広まり地域に定着していかないか懸念されています。
ここでは野犬が把握されている地域、自治体の野犬対策、エキノコックス症について紹介していきます。
野犬の把握地域
野犬の情報発信をしている都道府県、市町村をピックアップしました。下記の都道府県、市町村は野犬が把握されている地域、野犬の対策を見えやすい形で広報している地域、野犬の目撃状況を開示している地域です。下記の地域以外にも把握されていない、開示されていない、野犬が繁殖している地域はあるかと思います。
また、下記地域のどこが野犬が多い、少ないというものではありません。
参考程度にみていただけたらと思います。
- 北海道
- 北海道釧路市
- 愛知県蒲郡市
- 愛知県常滑市
- 愛知県東浦町(頭数把握あり)
- 滋賀県長浜市
- 広島県尾道市
- 広島県東広島市
- 広島県府中市
- 山口県周南市
- 山口県下松市
- 香川県
- 香川県坂出市
- 愛媛県
- 徳島県
- 徳島県鳴門市
- 福岡県
- 長崎県壱岐市
- 熊本県荒尾市
- 沖縄県
順不同(野犬の多い少ないではありません) 2023年7月時点
野犬掃とう
野犬掃とうの実施地域
放たれている野犬や犬を捕獲することを野犬掃とうといいます。 通常の方法によって野犬を捕獲することが著しく困難であると認めるときは捕獲のほか、薬殺も認められている場合があります。 自治体によっては、野犬掃とうに関する条例が策定されています。ある自治体では、野犬掃とうを行なうときはあらかじめその期間、区域、方法を告示しなければならないと明示されています。 野犬の群れによる怪我や事故を防ぐため、必要と判断される地域では定期的に野犬掃とうが実施されています。 掃とう期間中は野犬や野良犬のほか、係留されていない放し飼いの犬も、掃とうの対象として捕獲、薬殺されるため、放し飼いをしないよう注意を促しています。
条例の策定年度をさかのぼると、戦後に策定されている自治体もありました。地域住民が長い間、野犬の問題に悩まされてきたことがうかがえます。
下記の自治体は、過去5年内に野犬掃とうの実施期間、実施方法を広報していた自治体をピックアップしています。そのため、野犬掃とうに関する条例はあるが、実施期間でないため広報していない、ホームページによる周知を行っていないといった自治体はピックアップしていません。
- 北海道留萌市
- 北海道紋別郡遠軽町
- 北海道虻田郡ニセコ町
- 北海道岩内郡共和町
- 北海道帯広市
- 北海道美唄市
- 北海道夕張郡栗山町
- 北海道茅部郡森町
- 北海道稚内市
- 北海道上川郡上川町
- 北海道枝幸郡浜頓別町
- 北海道常呂郡佐呂間町
- 北海道滝川市
- 北海道紋別郡西興部村
- 北海道虻田郡留寿都村
- 北海道磯谷郡蘭越町
- 北海道斜里郡小清水町
- 北海道勇払郡占冠村
- 北海道雨竜郡秩父別町
- 北海道紋別郡滝上町
順不同(野犬掃とうの良し悪しを問うものではありません) 2023年7月時点
野犬を増やさないために
自治体では野犬を増やさないために、野犬の捕獲を実施しています。しかしながら、一部の地域では餌やりをする人があとをたたないため、空腹にならない野犬は捕獲器に寄ってこないといったことがおきています。
はたから見るとお腹を空かせた野犬に餌をあげる行為は動物に優しい行為のように見えます。しかしながら、小さいときに捕獲された野犬は訓練を受け譲渡対象となり新しい家族に迎えられるチャンスを得ることがありますが、捕獲されることなく成犬となった野犬は繁殖を繰り返してさらに数を増やしてしまう悪循環を生み出してしまいます。
ここでは、山口県周南市の取り組みを紹介していきます。
餌やり禁止の条例
周南市空き缶等のポイ捨てその他の迷惑行為禁止条例(抜粋)
第7条2項
市民等は、所有者が管理しない動物のふん、鳴き声、徘徊等が生活環境を害することがあることを考慮し、所有者が管理しない動物にむやみにえさを与えてはならない。
第16条
市長は、前条第1項及び第2項の規定による命令を受けた者が正当な理由なく、この命令に従わないときは、その者に意見を述べる機会を与えた上でその氏名等(法人その他の団体の場合は、その名称を含む。)を公表することができる。
職員による巡回パトロール
野犬へのむやみなエサやり禁止の呼びかけと注意、動物の遺棄・虐待の防止を目的として、職員が周南緑地公園や野犬情報の多くなった地域を巡回しています。
しゅうなん通報アプリによる野犬情報の可視化
令和2年9月より「しゅうなん通報アプリ」に野犬通報情報が導入されました。「月別通報件数」、「曜日・時間帯別通報件数」、「通報場所」について、より詳細な情報を閲覧できるようになっています。 市民が野犬によるトラブルに巻き込まれないよう周知を行っています。
[引用]山口県周南市ホームページより
イヌ科の動物が宿主となるエキノコックス
キツネやイヌなどから排泄された虫卵に汚染された水、食物、埃などを経口的に摂取した際、人への経口感染をすることから、イヌ科の動物が宿主となりエキノコックスが地域へ定着するのではないかと懸念されています。

十勝総合振興局
https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hgc/echino-dog.html
地域によって発生状況が異なるため、お住いの自治体の情報や動物病院の先生しておくといいかもしれません。